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藤巻舎人 脳内ワールド

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カテゴリー「兄弟気分」の記事一覧

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兄弟気分(3)


「陽ちゃん。オレ・・・」
 目を細め、恥ずかしそうに櫂が顔を近づけてくる。
 柔らかそうな唇を、モノ欲しそうに小さく開いて。
 あああ、櫂、マズイよ。やっぱこういうのはマズイよ。だっておまえはまだ十四歳だぞ? オナニーだってやってるのか? まだまだ知らないコトが沢山あって、これから知っていくっていうときに、いきなり男とキスするのか? あああ、ダメだ。そんなに顔を近づけたら。そんな顔したら・・・。


「な~にがダメなんだ?」
「・・・え? なにがって・・・。アレ?」
 突っ伏していた机から顔を上げる。ガヤガヤと騒々しい教室。みんな席を立って出ていったり、座ったままかたまって話をしていたり。
「もう授業はおわってんぞ?」
「あ?・・・ああ、そう」
 夢、だったのか。そうだよな。そんなことあるはずないよな。
「寝ぼけてないで、ホラ、行くぞ」
 立花はまだ座っている俺を見下ろして急かす。
「どこに?」
 夢があまりにリアルだったから、興奮、いや、とまどう内容だったから、なんとなく現実になじめずにいた。
「メシだよメシ。早くしねぇと、学食の席、無くなっちまうって」
「ああ・・・」
 俺は曖昧に返事をして、ようやく立ち上がる。
「なんだよ。昨日寝てねぇのか?」
「あ? ううん。まぁね」
 適当にごまかして、教室を出る。
「はぁ、やだねぇ」立花は大袈裟に溜息をついて、大きな肩を落とす。「お盛んなコトで」
「な、な、なんのコト言ってんだよ?!」
「とりあえず、俺の部屋の上で、ベッド軋ますなよ?」
「バ~カ! ちげぇよ! なに勘違いしてんだ」
 俺は立花のむっちりとしたケツを軽く蹴り飛ばした。立花は、ニシシっと笑い、知ってるよ、と言って逃げた。


 立花は、大学に入って最初にできた友達だ。なにせ住んでるアパートが一緒で、俺が二階、その真下の部屋が立花。学部も同じだから、だいたい取ってる授業も同じで、通学のときも二人だったりする。
 立花はサイクリング・サークル、俺は合気道部に入った。
 学食は、思ったほど混んでいなかった。
 料理をのせたトレーをテラス席に置いて座る。
「なぁ、陽介って、彼女いねぇの?」
「いないよ」
 俺はカツカレーを口に運びながら、ぶっきらぼうに答えた。
「じゃあさぁ。どんなのが好みなんだ?」
 面倒臭いけど、答えないとさらに面倒だから、一応答える。
「う~ん、なんていうか、初々しくてぇ、純粋でぇ、いろいろ手取り足取り教えたくなるような・・・」
 そこでさっきの夢の櫂の姿が浮かんだ。アレ、これってもしかして櫂のこと?
「なんか田舎臭いなぁ」
「いや、そうじゃなくて」
「あ、もしかして、初モノ好き? おまえ」
「あ、その」
 やっぱ俺は櫂が好きなのか?
「それは難しいだろう。滅多に拝めないぜ? ヴァージンなんて。犯罪でもしない限り」
「は、犯罪?!」
「そ、十代、未成年。それはヤヴァイだろ?」
「だ、だ、だよねぇ・・・、ははは」
 ああ、笑えない。どうすんの? 俺。
「今日さ、学校終わったら、おまえ、ヒマ?」
「あ、バイト・・・」
 そうなんだよ、バイトなんだよ。櫂と会うんだよ。
「ふーん、そっか・・・」
 ん? なんだろう。なんか変な立花だなぁ。
「バイトかぁ。あ、そうだ。おまえ、中華料理屋でバイトしてんだよな?」
「うん」
「今日、食べに行っていいか?」
「あ? イイけど?」
「よっし! 決まり!!」
 立花は嬉々として中華丼を口に掻き込んだ。なんか櫂に似てるなぁ。そう考えると、立花が可愛くみえてきた。あれ?
「もしかして、おごり?」
「しねぇよ。せいぜい割引」
「じゅーぶん♪」
 立花は、ぴかぴか輝くみたいに笑った。そこで俺は、何故か櫂のことが気になった。

  
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兄弟気分(2)


 櫂は向かいのテーブルに座って、野球のユニフォームのままクッキーと麦茶を交互に口に運んでいた。日に焼けた小さい顔、キリっとした眉毛、まだ男らしさと幼さが同居している表情。
 いや、なんか、カワイイよな・・・・、いやいや! まだ櫂は中学生だぞ! 変なことは考えない!
 俺は思わず首を振ってしまった。
「どうしたの? 陽ちゃん。頭痛い?」
「え? いや、なんでもない」
 ああ、日に日に募る、ヨコシマな感情。はぁ、どうにかなりそう。


「なぁ、陽ちゃん」
「ん?」
「あのさ、そっち行ってイイ?」
 うわ、キタよ・・・。
「あ? ああ、いいよ」
「よし!」
 櫂は小さく呟いて、側に駆け寄ると、俺の膝の上に座った。
「重い?」と櫂が訊く。
「重い。そして汗くせぇ」
 ああ、なに?コレ。なんの罰ゲームですか? 日に焼けた坊主のうなじに薄っすらにじむ汗、そして立ち昇る臭い。そんなヤツが俺の膝の上に乗ってるんですけど!!
「まだ風呂入ってないからね」
「さっさと入れよ」
「イイじゃんよ~」
 そう言って櫂は俺に寄り掛かってくる。
 あ、バカ! そんなに密着するな! 体をあずけるな!


 何故か櫂は俺になついている。それもかなりベッタリと。なつかれるのは大歓迎なんだが、やっぱりねぇ、アレだよなぁ、こんな大胆に近づかれると、もう溢れんばかりのフェロモンっつうか、なんか十代盛りの体臭っつうか、そんなもんがね、俺の理性を揺るがすんだな、コレ。
 櫂は俺の両手を掴んで、自分の太腿の上にのせる。何の理由かはわからない。とにかく俺に触りたいらしい。いつも体を絡ませてくる。多分、自分でも何故なのかわかっていないのだろう。性的なものを求めているのか、兄弟的なものをなのか、父性的なものをなのか、全部含めてごちゃごちゃで、それが中学生ってやつなのか。
 それでもね、対象になってるコッチとしては、もう、生殺しですよ。目の前に美味そうなご馳走が・・・。


 ぐっと寄せてきた坊主頭が、ジョリジョリと俺の鼻の頭に当たる。
「オイ、邪魔だよ」
 俺はドキドキしながら、勃起して膝の上の櫂に悟られたりしないように必死で我慢しながら、顔を横に避けて言った。
「うんっ」
 その瞬間、櫂は突然甘い声を漏らし、体を強張らせた。
「え・・・?」
「よ、陽ちゃんの、、、スケベ」
「ななな、なんでだよ!!」
「耳に息、・・・、吹きかけた」
 櫂は顔を赤くし、うつむいて小さく呟いた。
 !!!??? えええ? ヤバイ、ヤバイ、何?これ!!
 駄目だ、頭が沸騰して、煮えたぎって、理性が、理性が、吹き飛びそうだ!!!
「そ、そ、そんなの、櫂の方がスケベじゃん」
「オレは、スケベじゃないよ・・・」
「じゃあ、こんなコトしてもイイのかよ」
 俺は、心臓が破裂する思いをしながら、櫂の産毛が薄っすら生える真っ赤な耳に、熱い息を吹きかけた。
「ひっ・・・」
 櫂は必死で耐えたけど、どうしようもなくて声が出てしまった、と言った感じだった。


 そして、沈黙が流れる。二人の動きが止まる。だけど、お互い鼓動がバクバク鳴り響き、体と頭の中ではとんでもない嵐が巻き起こっていることは感じられた。
 どどど、どうすればイイ? どうしたらイイ?
 頭の中を思考が激しくグルグル回り、目も回りそうだった。
 二人の体が接しているところが、じっとりと汗ばんでいく。立ち昇る熱気、大きく聞こえる呼吸音。
「ふ~、疲れた!」
 そこに店の方から奥さんがキッチンに入ってきた。
「あら、櫂はまた陽介ちゃんにべったりして。この暑いのに迷惑でしょ? ささっとお風呂入って、夕飯食べちゃいな!」
 そこで櫂は俺の膝の上から飛び降りる。
「関係ねぇだろ」
「関係あります。陽介ちゃんも、嫌だったらビシっと言ってやってね、この子すぐ調子のるから。ホラ、さっさとお風呂入る! 後がつかえるでしょ!」
「うるせぇなぁ、今入ろうと思ってたとこ」
 ぶつくさ文句を言いながら、櫂はキッチンを出て行こうとした。
「じゃ、陽ちゃんまたな。今度つづきしようぜ」
「お、おう」
「もう、働いてもらってるのに、その上櫂の遊び相手もしてもらって、悪いわねぇ」
「いいえ、別に、ダイジョブっす」
 俺はうつむいて、顔が赤くなるのを隠した。
 しかし、いったい櫂は何考えてんだ? 『つづき』って??
 ま、まさか!!??

兄弟気分(1)

      (1)



大学の講義が終わり、俺は自転車をかっ飛ばして、ちょっと郊外の住宅街へ向かった。行きは下り坂が多いから楽だ。風が心地いい。
 砂利を敷き詰めた小さな駐車場に自転車を停め、店の分厚いガラスドアを押して中に入った。
「ちわ~す」
「おお! 陽介ちゃん。早いなぁ」厨房の影から御主人の明るい声が聞こえた。
「そうすか?」
 俺は荷物をレジの下の棚に詰め込み、代わりにディズニー・キャラクターがプリントされたエプロンを取り出して首にかけた。恥ずかしいから違うのにしてくれと奥さんに言ったら、コレしかないんだと。まぁ、もう慣れたけどね。
「まかない、今、作ってる」ご主人がカウンターから顔を出す。
「いつもスミマセン」
 少ししてカウンターの上に出されたのは、ワンタンメンとライス大盛りだった。
 いつもながら、美味そう! そして実際、ココのメニューは全部ウマイのだ。
「では遠慮無く、いただきます!」
 俺は箸を割り、レンゲで熱々のスープを啜った。


 ココは俺のバイト先の中華料理屋「安安軒」だ。大学に入学したての先月、ヒマだから街をブラブラしていたら、店先に「アルバイト募集」の貼り紙を見つけ、なんとなく中に入って、昼飯を食べたら、なんと激ウマ!
 貼り紙には、賄い付き、と書いてあったので、毎回こんな美味いのが食べられるなら、最高だな! 食費も浮くし、と迷わずバイトを申し込んだんだ。
 店は自宅と繋がった店舗で、小さなカウンターの奥に厨房。客席は四人掛けのテーブル席が四つ、奥に座敷があって、テーブルが二つ。
 この店を、御主人と奥さんの二人で切り盛りしている。昼間はそれにパートのおばさんが入り、夕方から夜は、俺が入ってる。平日はそうでもないが、土日、祝日はかなり込み合う。場所柄、家族連れも多い。ま、結構繁盛してるってことだ。


 人気メニューは、麺類もさることながら、やっぱり定食だな。特に回鍋肉定食と天津飯定食はダントツに良く出る。運んでるそばからヨダレがでてくるからね。
 ようやくまかないを食べ終わった頃、入り口のドアが開き、カランカラン! とベルが鳴って、夜の最初のお客が入ってきた。
「いらっしゃいませ!」
 俺はカウンターから立ち上がり、厨房に入って、お冷を作り、メニューを持ってホールへと出た。
 さて、今日もガンバルぞ!!


 店は夜の九時にラストオーダーになる。今日は平日でもあり、客はすぐに引けた。
「お疲れさん、陽ちゃん」三角巾をかぶった奥さんが、笑顔で声をかけてくれた。「奥のキッチンで、ジュースとお菓子でも食べてって」
「あ、ハイ」
「櫂も帰ってるかも」
 店は自宅と繋がっている。俺はレジ脇の通路を奥へ行き、靴を脱いでドアを開けた。そこは自宅のキッチンに続いている。
「あ、陽ちゃん。もう終わり?」
 キッチンに入ると、汚れた野球のユニフォーム姿のまま、テーブルの上にのっているクッキーをむしゃむしゃと食べていた櫂が声をかけてきた。
「おう。櫂も今帰りか」
「うん」くりくりした可愛い目をこっちに向ける。「陽ちゃん、なんか飲むだろ?」
「ていうか、櫂が飲みたいんだろ?」
 俺は椅子を引いてテーブルについた。
「なんでもイイじゃん。何飲む?」
 櫂は大きな冷蔵庫を開けた。
「う~ん、麦茶」
「おっけぇ~い!」
 櫂は麦茶の入ったボトルを取り出し、コップも二つ出して、甲斐甲斐しく注いで持ってきてくれた。


 コイツが御主人と奥さんの一人息子で、櫂(カイ)。中学一年生で、野球部だ。櫂は俺の向かいの席に座り、自分の麦茶を飲み干した。
「はぁ~、ウマイ!」
 日に焼けた小さい顔をニコリと揺るませ、大きく息を吐いた。思わず頭を撫でてやりたくなるような、可愛いやつだ。

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プロフィール

HN:
藤巻舎人
性別:
男性
趣味:
読書 ドラム 映画
自己紹介:
藤巻舎人(フジマキ トネリ)です。
ゲイです。
なので、小説の内容もおのずとそれ系の方向へ。
肌に合わない方はご遠慮下さい。一応18禁だす。

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