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藤巻舎人 脳内ワールド

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カテゴリー「私立日高見学園 第1章」の記事一覧

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後書き

シリーズ、私立日高見学園。

第1章『人生に迷ったらソウルを聴きなさいよ』
終わらせていただきました。
読んで下さった皆様方、ありがとうございます。

もうお気づきのひともいらっしゃるかもしれませんが、
この小説は、作者が西尾維新の「物語」シリーズを読んで、
影響されて書いたものですので、文体やら言い回しとか、
西尾維新ぽい、んです。
まぁ、ブログだし無償だし、イイかなと思い。

それに書いてる途中からもう関係なしに自分の文章でしたし。
一応断っておきますが、ストーリーや設定は藤巻完全オリジナルです。

ま、よかったら引き続きおつきあい下さい。
物語はまだまだ続きますからよってに。

藤巻舎人
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私立日高見学園(20) 児屋根春日

瓜生君に言われて、急いで席を外して追いかけた。
何も考えずに、無心で。
むしろ無心でしかいられなかった。
心臓の鼓動がやかまし過ぎて、思考が圧倒されていた。

まだ昼休みの賑やかな教室に戻る。
だけど何度見渡しても錦君の姿は見つからない。
あれ? あれ? あれ?
先に教室に戻ってるって言ってなかったっけ?
窓際まで行って、校庭にも目を走らせてみる。
居ない。
廊下に戻って確かめてみる。
居ない。
どこにも居ない。
では、どこに行った?

間に合わなかったのかな。
本当に嫌われちゃったのかな。

この一か月、ずっと誰れにも認識されないままにしろ、
ちゃんと登校はして、授業には出ていた。
先生の話は聴いていたし、休み時間だって教室に居た。
体育だって音楽だって美術の授業だって出ていた。
そこで目についたのは、棚機錦君。
彼は僕の理想だった。
理想の、妄想の、夢想の僕の、具現化した姿だった。
余りに酷似していた。近似していた。
あんな風になりたい。あんな風に振る舞いたい。
もし人前に出て、
教室の中で、
友達と一緒に・・・、

彼みたいに話して。
彼みたいに笑って。
彼みたいにはしゃいで。
彼みたいに怒って。
彼みたいに泣いて。

でも、
誰も僕を見てくれなかった。
誰も僕に話しかけてくれなかった。
誰も僕に気付いてくれなかった。
誰も僕に触れてくれなかった。

錦君。
君が光だった。
だけど眩しかった。
見ていられなかった。
僕は圧倒的に影だった。
認識されない影の世界に居た。

だから僕は光を諦めた。
僕は影に沈むことにした。
影で世界を覆うことを望んだ。

だけど、ここに再び戻ってきた。
今度は、影から抜け出す為に。

と、そこで頭を殴られた。
グーで。しかもグーで。
「痛っ・・・」
「なーに辛気臭い顔して廊下に突っ立ってんだよ。通行の邪魔だ」
万木君だった。
「今にも消えそうだったぜ? 逃げんのか?」
「・・・、そんなことないよ」
恨み言の一つでも、いや、呪いの言葉でも吐いてやろうと思ったけど、止めた。
そんなの、認めたくない。逆戻りは嫌だ。
「で? あいつは? あぁ、その様子だと、駄目だったか、嫌われたか」
どこか嬉しそうに得心顔の万木君。
なんて奴だ。呪っておけばよかった。

「駄目だったんじゃないよ。居なかったんだよ」
「じゃあ、撒かれたのか。逃げられたな。ま、あんなバカには春日麿の良さは分からないっての。それにあんなの居なくても、オレが居ればじゅーぶんだよなーーって、不十分ですかー?? 春日麿さん、めっちゃ不満顔なんだけど!!」
「万木君には分かんないよ、僕の気持ち・・・」

誰にも知られず。
誰にも認められず。
誰にも知覚されず。
ずっと独りだった僕の・・・。
『一万年・・・』
万木君の言葉を思い出す。
一万年探し続けた。一万年待ち続けた。
どこまでが本当なのか分からない。だとしても、万木君はいったいどんな・・・。

「さっき瓜生って奴にも言われたよ。オレが『なんにも知らないくせに』なんて言ったら、『知らないのは当たり前だ、だからこそ友達になりたいんだ』みたいなこと言われたよ。そうだよなって思った。オレ達、知らないんだよ。知らな過ぎるんだよ。オレと春日麿だって、あいつらだって」
「うん、知らないから、知りたい。もっと知りたい。だから友達になりたい」
「変な奴らだよなぁ。長く生きてるけど、ああいうの、久し振りな気がする」
どれくらい久し振りなの、とは今は突っ込まないでおく。
万木君とはまた後でじっくりと知ることにする。
だから今は・・・・。

「オッホン!! ゴホンゴホン、ェヘン!!」
気が付くと、向かい合う僕らの隣に、棚機錦君が大袈裟な咳払いをして立っていた。
「えー、あー、なになに? 君たちはこの神聖な学び舎としての学校で、しかも一般生徒が行きかう廊下で白昼堂々といちゃつく仲なのかね?」
「べ、別にそんなんじゃ」
「残念でしたー、オレ達はそんな仲だよなー?」
「万木君、話ややこしくなるからちょっと黙ってて」
ありったけの冷たさを言葉に乗せる。
「あ、はい」
お、意外と効いたらしい。
さあ、あとは落ち着いて、冷静に、普通に普通に普通に・・・。

「ににに、き、いや、にぎし君、じゃなくて、ニギハヤヒ、あわわわ、
お、オギャーーー!! 助けてーーー!!!」

「落ち着け」X2
錦君と万木君にダブルで突っ込まれた。

すみません。取り乱しました。
では、気を取り直してもう一度。
そう、人生やり直しは効くのだ。
いつだって、どこでだって。
と、自分を無理矢理説得する。

「あ、改めまして、初めまして!!
僕は、児屋根春日と申します!!
春日、なんて名字みたいな名前だね、
なんてよく訊かれます!!
ウソです。ごめんなさい!!
今まで一度もそんなこと訊かれたことありません!!
友達なんて一人も居ませんでした!!
ずっと自分に引き籠ってました!!
けど、これからは、変わっていこうと思ってます!!
こんな僕ですけど、よろしかったら、友達になって下さい!!
お願いします!!」

僕は、深々と頭を下げて、右手を差し出した。

たく、天下の往来でデケー声だしてからに・・・、なんてボヤキが聞こえてきた。
そして。

「俺は棚機錦、私立日高見学園1年5組、吹奏楽部所属、パートは打楽器!!
お互い誤解や勘違いや行き違いがあるみたいだけど、
これからどんどん仲良くして行こうぜ!!
こっちこそ、よろしく!!」

ぎゅっと右手を力強く握られる感触が伝わってきた。
まるで心まで鷲掴みにされたみたいに苦しくなる。
顔を上げてみると、はにかんだ笑顔の錦君が僕を見ていた。

「なんだか楽しみだな、学園生活がよ」
「うん!!」

ああ、生きていて、良かった。



私立日高見学園 第1章 『人生に迷ったらソウルを聴きなさいよ』 
          

                <終>

私立日高見学園 補足1

         登場人物紹介


棚機錦(タナバタ ニシキ)・・・・・・ストレート

瓜生襷(ウリュウ タスキ)・・・・・・保護者

佐伯主税(サエキ チカラ)・・・・・・高校球児

児屋根春日(コヤネ カスガ)・・・・・結界師

万木非時(ヨロキ トキジク)・・・・・武人

御祖香久夜(ミヲヤ カグヤ)・・・・・スメラギ

褐色の男・・・・・・・・・・・・・・・這寄る混沌



           追記

七重(ナナエ)
1m60㎝程の刀身を持つ太刀。この世のすべてを断ち切る。
ほぼ斬鉄剣と同じスペック。蒟蒻も切れる。


八重(ヤエ)
七重と対を成す双剣。この世のすべてを貫く。
通称『魂の緒切り』


九重(ココノエ)
宝剣にして霊剣にして神剣の直刀。
代々スメラギの所有物。

私立日高見学園(19) 瓜生襷

テーブルを去る錦の後姿に語るように、オレは語った。

「カスガマロ君、自分の理想を錦に投影しちゃぁ、ダメだぜぇ。あいつには荷が重過ぎる。そりゃあ錦でも逃げ出したくなるってもんだ」

「あ、でも、あの・・・」
何をどうしていいか分からなそうにうろたえるカスガマロ君。
「無自覚なのは良いのか悪いのか・・・」まったく図りようが無い。「ま、とりあえずちゃんと正直に正確に自分の意思を伝えてきた方がいいと思うよ」
「ハイ!!」
意を決して席を立ち、食堂を出て行くカスガマロ君。
追いかけようとするヨロキ。
「過保護なもんだなぁ、放って置いたら?」
それを聞いて立ち止まり、無言でオレを見るヨロキ。先を催促するかのように。
良い心がけだ。

「なんだか純真だねぇ、カスガマロ君は。今時珍しい。絶滅危惧種、いやシーラカンスだな」
「生きた化石は言い過ぎだろ」
「無心で無謀で無遠慮で無垢過ぎる。15、6年生きてきて、そりゃあ無防備過ぎるよ。どう思う? パートナー」
ヨロキはなんとも言えない表情をした。
「何も知らないくせに、知った口を利くな、って顔だな。ま、連れも仲良くなりそうだし、よろしく頼むは」
オレは右手を差し出した。
ヨロキはその手をじっと見据える。まるでツチノコでも見つけたみたいに。
「ん? 何だ? 左利きか?」
違うよ、とぞんざいに手を払う。「それこそ、何も知らないくせに、だろ?」
「おいおいおい、何も知らなくちゃ、友達にもなれないのか? お互いの事を十全に知ってからでないとヨロシクっても言えないのかよ? 冗談じゃねぇ、バカ言うな。こっちだっておまえ等のことなんてなんも知らねーよ。それでも一方的って言われても仕方ないくらいに好意が持てそうだから、ヨロシク、って手を出してんじゃねーか。もっと良く知りたいから、仲良くなりたいから、近づきたいから、友達から始めましょってもんだぜ。それでもダメか? 不満か? 足りないか?
それとも友達は作らないって主義か? そんなら無理は言わねーよ。だけどな、オレとしちゃぁ、無理言いたい訳さ」
今度はオレの目をじっと見詰めるヨロキ。
それは覗き込むって言った方が的を得ているかもしれない。
不思議な眼差しだ。それ以外に表現が難しい。
いったいこいつは今までにどれだけのものをその目で見てきたっていうんだろう。

「変な奴だな、いや、変な奴等だな」
クスっと苦笑いをこぼすヨロキ。
案外笑うとかわいいもんだ。
「とりあえず、ヨロシク」
差し出された手を取るヨロキ。「こういうの慣れてねーんだ、っていうか苦手なんだよな」
「たく、小学生か? 何年生きてんだよ」
「うーん、一万年♪」ウィンクして八重歯を見せる。「おわ、そんじゃ、春日麿のこと追うわ。オレ、やっぱ過保護だし」
ふうん、とりあえず、か。

そしてテーブルには誰も居なくなった。
オレ以外。
それじゃ、こっちもそろそろ腰を上げますか。
追いかけるって言っても、追いつけないだろうなぁ、あいつ等じゃあ。
オレは学食を退出し、廊下を突っ切り、階段を上り、屋上に出た。
気持ちの良い青空。
五月の風が吹き渡る。
屋上のフェンスに向かい合って、
鬱々といじけているのは、
棚機錦。

「にーしき。もしかして、泣いてる?」
「どうして俺様が泣くなどという行為に屈しなければならない?」
「アホ言ってねーでこっち向いてみろ」
「ふっ、五月の薫る風が目に沁みるぜ」
「めっちゃ涙目じゃん」
「キターーーー!!!」
「目薬じゃねーだろ」
 屋上のフェンスをくしゃっと掴み、一緒に校庭を、そして広がる町を見下ろす。

「イイ風だ。それにイイ景色」
錦にはここ屋上に上がってくるクセがある。
良い事悪い事、なんでもキャパオーバーの事が起こると、フェンス越しに世界と対峙する。

「俺、嫌な奴だった」
「ああ?」
「カスガマロの前で、嫌な奴だった」
「別に今始まった事じゃねーだろ」
「うん、そうだね。俺はいつも嫌な奴だ。最低だ」
オレは世界から目を逸らし、隣で辛そうな顔で風に吹かれる錦を見る。
それはどこにでも居る高校一年生の少年の顔。
どこにだって居る。誰だって経験する。いつだって体験する。
何にも特別なんかじゃない。
普通なんだよ。

「本当はどうしたかったんだ?」
「さすがは瓜生って感じ? 俺のことよーく分かってらっしゃる。カスガマロみたいな奴さ、好きだよ。なんかほっとけないっつーかさ」
「似てるもんな、おまえと。類は友を呼ぶ、か?」
「そうか? ていうかそれなら同属嫌悪とか使って欲しかったな」
「それじゃ意味逆だろ。別に似た物同士がくっついてもイイだろう」
「うん。でも余りに俺のこと誤解してたからさ」
「錦だってあいつのこと何も知らないだろ?」
「誤解と知らないは違うよ。俺はそんなイイ奴じゃない」
「だけど悪い奴でもない」
「う・・・」

「その場で嫌な奴だったからって、いつでも嫌な奴って訳じゃないだろ? 24時間365日嫌な奴なんて居ない。もし居たらそいつは人間じゃない。人っていうのは、最低の奴と最高の奴、その間を行ったり来たりしてるもんなんだよ。ある時は悪魔でも、ある時は聖人でいられる。それが人間だ。その振幅が激しすぎると問題だけど、概ね人はその中間を目指して頑張ってんだ。誰でもそう。みーんなそう。
だから悩むのはイイが、恥じなくてもイイ。
それに、おまえは総じてイイ奴だと思うぜ」
「嬉しいことを、言ってくれる。瓜生はいつも、嬉しいことを言ってくれる」
「いつも、じゃねーよ。ときどきだ。たまたまだ」
そして錦は、その小さな頭を、オレの肩にクタっと預けた。
たく、甘えやがって。
オレは左腕を錦の背中からまわして、頭をクシャっと掴んでやった。
「そろそろ行ってやれよ。今頃教室辺りで右往左往してるぞ」
「なんて言えばイイ?」
「自分で考えろ」
「分かった」
錦はそっと腕から抜け出し、駆け出した。

「あーあ、どいつもこいつも世話が焼ける」
フェンスに背中を押し付け、もたれかかった。
空でも見上げようとしたら、向かいのフェンスに同じようにもたれかかってる奴がいた。
制服を着てるが、モンゴロイドにしては余りに肌の色が濃かった。

それは褐色。






私立日高見学園(18) 棚機錦

なんだかんだで昼休み。
学食で昼飯を食うことになった。


しかも四人で。




なんで?

いったい何があった?



俺は唐揚げコロッケカレー。

瓜生は天ぷら蕎麦大盛りとおいなりさん。

カスガマロとかいう奴は、ミックスサンドウィッチ。

そして万木とかいうバカは、
豚角煮丼と天ぷらうどんとギョーザ定食。

いや、あえて突っ込まない。
むしろ当然なのか?
あんなクソ力出すんだから。それぐらいエネルギー摂取しないとやってけないのかも。
ていうか、もう既に普通じゃない。常軌を逸している。
ああ、やっぱり穏やかに物申してしまった。
心の中で。

それよりも、なんでこの四人?


長方形のテーブルに、俺と瓜生が隣り合い、
俺の向かいにカスガマロ、瓜生の向かいにヨロキが座った。
それぞれ黙って食べることに集中している。
いやしかし、ここで先に食べ終わってしまっては、待っているのは地獄だ。しかも生き地獄。
食べている最中なら黙っていても問題ない。
だけど食べ終わってしまったなら、残るのは気まずい沈黙と何をしていればイイのかというプレッシャーだ。
俺は人見知りとかあんまりしない方だけど、なんかこいつら取っ付きにくいというかあからさまに変だろ?
突っ込みどころ満載過ぎて逆に隙がねーよ。
むしろめんどくせーよ!!
おまえら先になんか喋れ!!
そして先に自己紹介くらいしろ!!

なんて心の中で絶叫しながら大好物のカレーをかっ食らっていたら、隣で蕎麦を啜っていた瓜生が独り言みたいに、だけど皆に聞こえるように言った。
「錦ぃ」
「はふ?」
唐揚げを頬張りながら答える俺。
「おまえさぁ、こういうカスガマロ君みたいな厄介で面倒臭くて手がかかりそうな奴のことさぁ」
「・・・・・?」
「大ッ好きだろ?」

ぶふぉー!!
人間、食べているときに驚くと本当に口の中の物を噴出すものなんだと初めて知った。
いや、体験した。
体感した。
肉汁たっぷりの唐揚げが、無残にカレーの上に転がる。
「な、な、な、ナニ言っちゃっての? 瓜生君???」
「友達になっちゃえよ」
と親指を立ててウィンクする瓜生。
「は?」
「う、嬉しいです」
とカスガマロ。
「へ?」
「オレの春日麿がそう言うんだったらし方がない。泣かすなよ」
とヨロキ。
「ほ?」
「ほら、成立だな」
と瓜生。
え、え、え、---!!!

「朝、言えなかったけど・・・・」
そこで俯いて例の如く言い淀むカスガマロ。
「ほら、頑張れ!」
とカスガマロの背中をばしっと叩くヨロキ。
うん、分かったと咳き込みながら恥入りながら微笑むカスガマロ。
お、おまえらいったい何やってんだ!!

「錦君のことが前から好きでした」

ええええーーーー!!???
そして同時にヨロキが立ち上がった。
「えええええええええーーーーー!!!!!?????」

アレ?
なんでヨロキの方が俺より驚いてんの?
「ちょちょちょっと待てぇーーい!!
 春日麿、それはいったいどーゆーことだ!?
 好きはちょっと言い過ぎなんじゃねーか?」
「そうかな」カスガマロは顔を真っ赤にしてぼそりと言う。「じゃあ、言い直すと、ずっと憧れてました」
「へぇ、どういうところに?」
瓜生が面白がっているように訊く。
「あの、えっと・・・」
「別に無理して探さなくてもイイんだぞ」
ヨロキが口を挿む。
無理ってなんだ、無理って。
「錦君は、いつも明るくて行動力があって楽しくてクラスの中心で誰からも好かれてどんな時でも前向きで、それでいて」

「いや、ストップ」

「え?」
「それ、いったい誰のこと言ってんの?」
「おまえのことにきまってんだろ」
当然だ、とヨロキ。
「ふざけんなよ。俺のいったい何を知ってんだ?
 俺の何を見てたっていうんだ?
 だいたい俺はおまえに見られてた憶えはねーぞ!?」
ガタンと音をたててヨロキが立ち上がった。そしてそれを制するようにカスガマロはヨロキの手を掴んだ。
「ご、ごめんなさい。そうですよね、気付かないですよね、それでも僕は・・・」
「もうイイよ」俺も椅子から腰を上げる。「瓜生、もったいないからカレー食べてくれよ。俺はもういらない。教室に先に戻ってるわぁ」
「おまえが吐き出した唐揚げのってるけどな」
「う、まぁ、適当に」
「おい、待て」
ヨロキの声は無視する。
「カスガマロ君、自分の理想を錦に投影しちゃぁ、ダメだぜぇ。あいつには荷が重過ぎる。そりゃあ錦でも逃げ出したくなるってもんだ」
瓜生のやつ好き勝手言いやがって。しかも聞こえるように。

俺は足早にテーブルを離れ食堂から出た。

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プロフィール

HN:
藤巻舎人
性別:
男性
趣味:
読書 ドラム 映画
自己紹介:
藤巻舎人(フジマキ トネリ)です。
ゲイです。
なので、小説の内容もおのずとそれ系の方向へ。
肌に合わない方はご遠慮下さい。一応18禁だす。

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