県立男子高校の日常
【草間ケイスケ】(10)
「そんなに気持ちイイのか? え? 言ってみなよ」
「ああぁぁ・・・」
俺は堪らず目をつむり、暗闇の中で体中を暴れまわる快感を貪った。
「イイよぅ、気持ちイイよぉ! ああ! ユウジ、ユウジ!」
なにもかもが混乱していた。かわいくて、泣き虫で、ガキっぽくて、アホみたいに明るい大好きなシンジ。だけどその心にも体にもまだ手が届かなくて、代わりに、同じ顔の双子の弟ユウジに、イスに座らされ手を拘束され、ケツの穴にチンポ入れられて、乳首転がされて、言葉でなじられて、俺は涙を流して「気持ちイイよぉ~」なんて喘いでる。
シンジにしてやりたかったことを、ユウジに俺がやられてる。そして、「ホントはシンジにこんなことされたかったんだろ? かわいいシン兄ぃにボロクソに責められたかったんだろ?」なんてユウジに言われた。
そうかもしれない。これこそが俺の望んだ理想形なのかもしれない。多分、シンジはこんなことしてくれないから。だから顔も体も同じだけど中味はドSのユウジにいじめられる、これがベストなんだ・・・。
いや、何かが足りない。もっと別な、欠けた何かを補える、第三の選択があるような・・・・、ハッ! そうだ!!
探していたものは、答えは直ぐそばにあったんだ! ただ余りにも完璧だから、思いも付かなかっただけだったんだ!
「あっ、あっ、ユウジ! もっと、もっと!」
両手が縛られて使えないから、どうしようもなくなって首を前に出し、口を開けて欲しがった。もっとユウジと繋がりたい。ケツだけじゃなくて、もっと一つになりたい、溶け合いたい。
「なんだよ、ハァハァ、モノ欲しそうしゃがって」
ゆっくりと腰を前後させながら、俺を見下ろしてニヤつくユウジ。そのイヤラシイまでに絶妙なスピード加減が、深く深く快感の淵に俺を堕としていく。
「あぁ、ユウジ。もっと突いてくれ。もっと奥まで・・・」
「へへ、あんたみたいなやヤツ、初めてだぜ。こんな扱いされて、逆にもっと欲しがるなんて」
ユウジはそう言って、初めて嬉しそうに笑った。なんだ、かわいく笑えるんじゃないか。
「キスしてくれよ。あっ、あん・・・。かわいいユウジ」
「ば、バカ! ハァハァ、かわいいなんて言うな!」次第に腰の動きが速くなっていく。「キスなんてしてやるか!」
「あっ! あっ! あっ! ダメダ!ユジウ! そんなに、あっ! ヤバイ、ああ!」
壊れそうなくらいに突きは激しさを増し、痺れるようなねっとりとした快感の波紋が、突かれる度に全身に広がる。片手で乳首をゴリゴリとつねられ、もう一方でチンポを思いっきり扱かれる。ああ、ダメダ! イッちゃう。ホントに意識がどっかにイッちまう!!
「ああ!! ユウジ! イク、イク、ああ!」
「おお! スゲ~締まる。いいぞ、イケ! イケ! オレも、もう・・・」
体の奥底から突き抜けてきたものを、俺は堪らず吹き上げてしまった。チンポが脈打つ度に、声にならない叫び声をあげた。それよりちょっと遅れて、ユウジも限界を迎えたらしい。俺の体に覆いかぶさるように重ねて、小刻みに体を震わせ、短い呻き声を何度も漏らした。
お互い出し終えたあと、余韻に浸る朦朧とした意識のまま、自然に唇が求め合った。だけどユウジがハッと我に返り、急に体を起こして、まだ大きいままのチンポを俺から引き抜いた。
俺は、体の一部が失われたよな喪失感に襲われ、ものすごく心細い気持ちになる。ああ、ユウジ・・・。
ふう、ふう、と肩で息をしながら、いまだイスに縛られたままの俺を無表情で見下ろすユウジ。
「へへ、いいザマだぜ。ちっとはそのまま頭冷やせ」
拾い上げた制服のポッケからティッシュを取り出し、チンポを拭くと、いそいそと服を着て、拭き終えたティッシュを俺の顔に投げつけてきた。
「じゃあな、アホケイスケ。また遊んでやるよ」
「あつ・・・、ユウジ待てよ!」
ユウジは無視して美術準備室から出て行ってしまった。そしてタイミングを見計らったように授業終了のチャイムが鳴る。
あれ・・・? もしかして、俺、縛られたまま?
・・・ちょ、どうすんの? こんな姿のまま残されてどうすんの?
オイ! ユウジ! と叫ぼうとして止めた。ここで大声だしたら直ぐに見つかっちまう。ううう、どうしたら・・・。
するといきなりドアがガラガラ~と引き開けられた。俺はホント心臓が飛び出すかってほど驚いてドアの方を恐る恐る見る。
「よ~お、ケイスケ、どうだった?」
「わ、綿貫ぃ!!」そこにはニヤついている憎ったらしい綿貫が立っていた。「オイ! てめぇ!! どうしてくれんだよ! これはおまえが仕組んだんだろ!? このバカ早く手ぇほどけ!!」
俺はイスをガタガタいわせながら吠え立てた。
「おいおいおい、わかってねえなぁ~。そんな口きてもイイのか? オレに。このまま出ていってもイイんだぜ?」
「あっ・・・、てめぇ、きったねぇぞ!」
「う~ん、昼飯一週間分でどうだ?」
「フザケンナ! 誰が!!」
「あっ、そう。じゃあな、一人でがんばれよ」
「ま、待てよ! わかったよ。おごるよ。なんでもするから、な? 綿貫君、コウヘイ君! 綿貫様ぁ~」
こ、この野郎、後でぜってぇ殺す!!
「まっ、しゃあねぇなぁ~。これはすっげぇ貸しだぜ?」
<つづく>
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