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藤巻舎人 脳内ワールド

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私立日高見学園(11) 児屋根春日

前方で、ズレた人もといクシキネスズシさんと、そのお兄さんが対峙している。日も傾きかけた大学キャンパスで。
スズシさんはの抜身の日本刀を構え、お兄さんも腰に刀を佩いている。
なんて非日常的な光景。
しかし、先月には高校の体育館ならびに校舎がテロリストと思われる武装集団に襲撃されるし、
その前には、裏山で魔犬に襲われ、香久夜さんと龍樹先生と万木君達の人智を超えた遣り取りも見た。
何よりも、この僕自身、『拒絶』という異能の持ち主であると告げられ、図らずもその力を使っている訳で・・・。

「あ、あの、香久夜さん? いったい、ここで何が起こっているんですか?」
遅すぎるとは思うけど、僕は核心に迫る疑問をぶつけてみた。
「ふん、そうだな。おまえも、ここで何が起き、ここがどういう場所なのか、その一端を知っておく良い機会だ」
香久夜さんは僕を値踏みするみたいに見つめ、試すように笑った。
吸い込まれそうな程に力強い目。
気を張っていないと、意識が持って行かれそうになる。
怖い。
と感じた瞬間、いきなり頭の中に様々な声が響き出した。

『現在、対瞬間移動用結界及び空間歪曲防壁を展開中』
『封じ込め急げ!! だいたいなんでみすみす侵入を許した!? テレパス連中はどうした!?』
『どうやら奇杵冷は抗精神感応体質のようで、通常索敵に一切引っ掛かりませんでした』
『スメラギ御本人自らの通達だったとは真か!?』
『想定外などとはあってはならんのだぞ!』
『尚、現場には既に不可視及び隠蔽結界が張られている模様』
『唱様が対処しています』
『奇杵冷の情報を送ります。データは日高見を出奔した当時のまま更新されていませんが、現在入手出来るものはこれだけです。戦闘能力Aランク、複数の能力を保持。これはかつての「トコヨ計画」に・・・』

「と、ざっとこんなトコだが、どうだ?」
香久夜さんが言った。
だがしかし、さっぱり分かりません!!!
同時に頭の中でいろんな人が一気に喋ってる感じで、
ほとんど聞き取れなかったし理解出来てません!!
「ほう、やれば出来るじゃないか、あっはっは」
ちょっと、ワザとですよね?
僕がまったく無能だということを嘲笑ってるんですよね?
ヒドイやヒドイや。

「逃げられはせんぞ? スズシ」
とお兄さんは言う。
「何故逃げると? 唱(トナウ)の兄上。オレはただ実家に帰ってきただけなのに」
「ならば歓迎しよう。物騒な物は仕舞って、邸に来い。夕餉の準備はさせてある」
「はっ。本気ですか? 兄上。これだからあんたは・・・まぁイイや」
「どうした、おまえの好物は全部揃えるぞ?」
「オレ、好みは変わったんだ」
「年月は人を変えるものだ」
「そうそう、名前も変えたんだ。今は『十曜(ジュウヨウ)』って名乗ってる」
「ジュウヨウ・・・?」
「そっ。聞いたことくらいあるんじゃないかな? 星辰会の十曜ってね」

「あの、このままでイイんですか?」
僕は香久夜さんに訊いた。
「このままとは?」
「いえ、あの、スズシ?さんと、お兄さん、二人だけで放って置いて。なんだか気まずい雰囲気みたいですけど」
壮絶な兄弟喧嘩に発展しそうなんですけど。
「別にイイんじゃないのか? 何とかするのは他の奴等の仕事だ。オレには関係無い」
関係無いんですか。
なんだかすべての中心に居るのは香久夜さんなんじゃないかと思えるのですが。
「超越者はいろいろ不自由でもあるんでな」
と香久夜さんは嬉しそうに呟いた。
うーん、その不自由を楽しんでいるようにしか見えない。
「おいおいおい。不自由あっての自由だろ? 光が無ければ影も無い。上が無ければ下も無い。金持ちが居なければ貧者も居ない。それと同じ、不自由が無ければ自由は無い」
にわか禅問答みたいのではぐらかされてる気がする。

「さて、兄上、そう呼ぶのもこれで最後になると思うけど、そろそろお暇させていただくことにするよ」
「つれないことを言うな。折角の再開なんだ、もっとゆっくりしていきなさい。美味いみたらし団子があるんだよ」
「ふふふ、変わらないなぁ、あなたは。願わくば、これからもそうあって欲しい、って言いたいところだけど、ま、無理なか?」
「私はいつも変わらずにおまえを待っている」
「変わるよ。 これから、この地も、世界も、すべてが・・・、オレ達が変えていくんだ」
「おれ、たち・・・?」
「さっ、長居は無用。今日は挨拶だけのつもりだからね」そう言ってスズシさんは刀を持った右手を頭上にかざして叫んだ。「そろそろいいぞ!! 妙見!!」
その声とに呼応するかのように、スズシさんの背後の空間に、亀裂が入るのが見えた。
え? 何も無い空間に!?
周囲の風景がぐにゃりと歪む。
『ギーン』っという甲高い金属音が耳の中に響く。

そして、亀裂から、闇が溢れ出した。




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プロフィール

HN:
藤巻舎人
性別:
男性
趣味:
読書 ドラム 映画
自己紹介:
藤巻舎人(フジマキ トネリ)です。
ゲイです。
なので、小説の内容もおのずとそれ系の方向へ。
肌に合わない方はご遠慮下さい。一応18禁だす。

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